2012年8月15日水曜日

藤原一生先生の講演その2

藤原一生先生が壇上に上がる前(2)

それから、もう一つ。
♫今は山中、今は浜♪〜あれは僕が30年頃ですね。
まだ書いても書いても売れない童話作家になったのはいいけれども、昭和29年の4月にですね、僕は7年間勤めた銀座のとある本屋さんを辞めまして思い切って作家になったわけです。
そのころ、僕は29歳です。
その時にある一冊の本が出て、華々しくスタートしたんですが、それは売れません。1年くらいね。

そのころ、共同通信社で日本中の新聞に童話募集をしてたんです。
良い童話を書くと鹿児島からね同じ作品が出るんです。3枚もんです。
その当時で3000円くれんですよ。うれしくてね。
登竜門なんです。そこを経て段々出て行くんですね。
その原稿を置いて、そして枯れ葉の音がしてね。帝国ホテルの前、日比谷公園、そこには赤レンガが敷いてあったんです。今も敷いてあるかな?からからって音がしてね。
3000円手に入るかな?入らなかったら米どうしようかな?
その時に、1年生になる幼稚園の子どもがいてね。
ですから、
女房と3人でどうやって生きて行くか?
お米屋さんが素通りする。
そういうのは、
朝日新聞のコラボに書いてある通りです。

そのころ、新聞社に原稿を置いて
日比谷の十字路を立って歩いていて、自然に口から出て来たのが、
♪今は山中今は浜〜♫
それがね、
今は苦しい、辛いけども 絶えて行けば、絶えて行く必ず光がある!闇を貫けるんだ!と。何かそれがね、
自分の我でおしているのではなく、我で歌っているのではなく、自然に湧いて出てきましたね。それを思い出してね、この1曲を入れて下さいって。
ですから、佐藤くんにこの歌を頼んだんです。

珍しいでしょ、壇上に上がる前にこうして話すのは。

(拍手)

(藤原先生は壇上へ上がっていく。)

 

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